研究課題
本研究の目的は、周波数利用が錯綜している昨今、その開発が期待されているミリ波電磁波帯、更には電波と光波の谷間でその利用技術の確立が興味深いテラヘルツ波電磁波帯において、従来のプリント伝送線路に比べて格段に伝送損失が低減され、しかもこのような超高周波帯電磁波利用促進を妨げる大きな要因である「回路の高価格化」を解消した、低価格で提供されうる新たなプリント伝送線路を創出することにあり、今年度は低価格FR-4基板を用いたアンテナと発振器を60GHzで検討した。まずアンテナに関しては、FR-4基板で小型の一次放射器を設計試作し、実際にその利得を計測した結果、放射素子としてのFR-4基板は放射特性の低下を招くことはなく、高効率に放射できることを確認した。またこの放射素子でフェーズドアレイを構成し、電子的にビーム走査可能なアンテナを考案した。次にFR-4基板で構成した60GHz帯両面金属装荷トリプレート伝送線路(BITライン)に半導体素子を実装した。具体的にはガンダイオードを実装したミリ波発振器を試作し、簡便な構造で位相雑音が-105dBc/Hz(100kHzオフセット)という低雑音な発振器が実現できた。またBITラインと構造を異にするが、プリント線路を固定する誘電体基板を全く用いずとも伝送線路が形成できる新たな導波構造を見出し、35GHz帯で帯域フィルタを設計試作したところ、挿入損失1~2dB以下で、スプリアス特性の良好な低価格ミリ波フィルタを実現することができた。この構造では、FR-4基板より低価格化が期待できることから、本研究の次なるステップと位置付けたい。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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