研究課題/領域番号 |
22560368
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
石橋 豊 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40252308)
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キーワード | 情報通信工学 / 情報システム / ネットワーク / 感性情報学 / 五感情報通信 |
研究概要 |
本研究では、視覚・聴覚・触(力)覚・嗅覚メディアのうち、主として、ビデオ・サウンド、ビデオ(立体ビデオ)・力覚メディア、及び嗅覚メディア・触覚メディアの組み合わせを扱った。また、立体ビデオと自由視点ビデオも個別に検討対象とした。主な研究の成果を以下に示す。 (1)ビデオ・音声を用いた遠隔合唱を対象とし、ネットワーク遅延の差が合唱の同期品質に及ぼす影響をユーザ体感品質(QoE : Quality of Experience)評価した。また、視聴者の端末で端末間同期制御によって複数の歌い手のビデオ・音声をメディア間同期させる方法を考案し、その有効性を示した。 (2)ビデオ(立体ビデオ)・力覚メディアを用いた遠隔制御システムにおいて、文字を書く作業を扱い、ネットワーク遅延に応じて反力の大きさを動的に変更する反力の適応制御を適用し、QoE評価によって、その効果を明らかにした。 (3)嗅覚メディア・触覚メディアを用いた果物狩り競争ゲームを対象に、果実を視点に近づけると香りがするようにし、香りがユーザに届くまでの時間がユーザ間の公平性に及ぼす影響をQoE評価によって調べた。また、両メディアを用いた遠隔生け花教室を対象に、香り空間(この領域に視点が入ると香りを感じる)の大きさを花の移動速度と方向によって動的に変更する制御を考案し、特許として出願した。また、QoE評価によって、その制御の有効性を示した。 (4)立体ビデオの誤り補償を検討し、パケット欠落がQoEに及ぼす影響を調べた。また、ビデオを構成するスライスの数の影響も明らかにした。 (5)自由視点ビデオの立体視を実現し、伝送方式として、合成画像伝送方式と画像・奥行き画像伝送方式を扱い、ネットワーク遅延が視点変更に及ぼす影響をQoE評価によって調査した。その結果、立体視を行わない場合と比べ、合成画像伝送方式の画像品質の劣化が抑えられたので、この方式の有効適用領域が広くなることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的の一部である嗅覚メディアのQoS制御については、計画以上に大きな進展が得られ、特許として出願することができた。一方、自由視点ビデオと触覚メディアに関しては、個別の検討については順調に進展してきたが、両メディアを同時に扱い、QoS制御を検討することについては遅れている。従って、全体的には、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
早急に自由視点ビデオと触覚メディアを同時に扱うため、昨年度までに扱ってきた自由視点ビデオ伝送システムと触覚メディアを用いた遠隔制御システムをネットワークで接続し、端末間同期制御によって、自由視点ビデオと触覚メディア間の同期を実現する手法を採用する。これは、一つの端末で自由視点ビデオと触覚メディアを同時に扱うと処理能力上の問題が生じるだけでなく、システムの開発期間もかなり短くできるからである。
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