申請者は、近年、凸最適化問題における連続最適化手法に基づくLDPC(Low-Density Parity-Check;低密度検査)符号の復号法を提案している。また、その応用としてCDMA方式におけるマルチユーザ検出アルゴリズム、2次元シンボル間干渉通信路に適した等化アルゴリズムの開発を行っている。本計画研究の主たる目的は、内点法やニュートン法といった連続最適化手法を通信系のアルゴリズムに適用するときに生じる諸問題について深い理解を得ること、そして、その理解に立脚して最適化の見地から新しい復号・信号検出アルゴリズムの開発することである。平成22年度は、本プロジェクトの成果である内点復号法の論文やビットフリップ型復号法が、国際学会誌に掲載されるなどの成果が上がった。また、内点法に基づくマルチユーザ検出の仕事も論文にまとめて投稿済である。一方、新しい研究の展開として、線形計画法に基づく置換符号の復号アルゴリズムに関して成果が上がりつつある。この成果については、23年度の国際会議International Symposium on Information Theoryに採録が決定しており、今後の研究の進展が期待される。
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