研究概要 |
本研究では,次々世代セルラ移動通信システム(IMT-Advancedシステム)の下り回線通信(OFDMA方式による多重化を採用)において高容量化が可能な新たな無線システム制御技術を確立することを目的とする.当該システムに採用されるキャリア・アグリゲーション(CA)技術に着目し,CA技術をセル間の通信チャネル(コンポーネント・キャリア:CC)に適用するセル間CA技術を確立することにより,システム容量の高容量化を目指す. 本年度は,主課題であるセル間CA技術の基本的な枠組み(周波数チャネル資源と送信電力資源のセル間高効率利用技術)について研究を進め,基礎的な評価データの取得を行った.具体的には,隣接セル間のCCのアグリゲーション手法を検討した.自セルにおいて既に移動局(UE)へ割当済であるが隣接セルでは未使用のCCを,自セルの他のUEに追加割当を行う手法について検討を進めた.このようなCCは自セルからの送信と隣接セルからの両送信において適切な送信電力制御が必要であることが判明し,その送信電力制御法と隣接セルからの追加割当時の割当基準について検討を進めた. これらの検討により得られたセル間CA法の特性評価を,計算機シミュレーションにより実施した.その結果,提案手法ではセル間CAを実施しない従来手法と比較して,特に,UE(ユーザ)スループットと伝送遅延特性が向上することが明らかとなった.本研究成果は,2011年電子情報通信学会総合大会(於:東京都市大学)にて公表されている.
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