研究課題
本研究では、OFDM時間軸信号の有するPAPR問題を簡易な演算処理で解決するPAPR低減方式を提案することを目的としている。今年度は、時間遅延を用いたPAPR低減方式の改善効果について実証することを重点課題として検討を行った。OFDM時間信号は複数の周波数の周期性を利用して作成されていることから、OFDM信号に時間遅延を与えることは、時間軸信号を単に時間遅延分を巡回シフトさせることになる。また、複数のクラスターに分割した時間軸信号のそれぞれに最適な時間遅延を与えることによりPAPR特性を改善することが可能となる。一方、時間遅延を与えた複数のOFDM信号の合成は加算処理だけで求めることができることから、乗算処理が必要となる従来のPTS方式等と比較して演算量の大幅な削減が可能となる。これらを想定して、クラスター毎に独立に最適な時間遅延量を与えるPAPR低減方式を提案した。また、クラスター毎の時間遅延量は、時間遅延量の全ての組み合わせについて試行することにより最良のPAPR特性を達成可能となるが、演算量の増大が問題となる。これに対して、繰り返し手法を併用してクラスター毎に独立に時間遅延量を与える演算量削減方式を提案した。これら提案方式の有効性を実証するために、クラスター数4の場合について計算機シミュレーションによる特性評価を行った。その結果、従来方式のPTS方式と比較して、CCDF特性が10^<-1>の場合で1.5dBの改善を確認した。また、乗算処理により全ての位相の組み合わせについて試行するPTS方式と比較して大幅な演算量の削減が可能となることを確認した。一方、非線形回線下における提案方式の特性評価を送信側で与えた時間遅延量が受信側で既知と仮定した場合について実施した。その結果、従来のPTS方式と比較して誤り率特性を大幅に改善することを確認した。
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中部電力 技術開発ニュース(トピックス)
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