研究概要 |
平成22年度は、本研究の基幹となる通信路の有意な係数の判定規範を導出するための理論構築に取り組んだ。 具体的には、通信路推定誤差と通信路容量の解析式を求め、通信路推定誤差がある場合の理論上の通信速度の限界である通信路容量の表現式を導出し、シミュレーションにより表現式の妥当性を検証した。その結果、有意な係数だけを推定する場合のほうが良いことがあることを実証できている。これは、これまで発表されてきた多くの係数を推定する方法が必ずしも有効ではないことを示しており、学術的に重要である。 この成果は、2011年5月に開催される信号処理の世界的な国際会議IEEE International Conference on Acoustics, Speech and Signal Processing 2011に採録されている。 導出した表現式をスパース通信路に対して応用することで、スパース通信路の有意な係数を判定するための有効な規範の導出が期待できる。また、少数の有意な係数を推定することで本研究の目的である高速移動時のOFDMの性能向上が実現できる。
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