研究課題/領域番号 |
22560380
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
大野 修一 広島大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (70273919)
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キーワード | 通信路推定 / スパース通信路 / 推定誤差 / 通信路容量 |
研究概要 |
平成23年度は、昨年度に引き続きスパース通信路の有意な係数の判定規範の導出に取り組んだ。 平成22年度に導出した通信路推定誤差がある場合の理論上の通信速度の限界である通信路容量の表現式を用いて、いくつかの判定規範を考案したが、いずれもスパース通信路の有意な係数判定に使用する閾値の解析的な表現を得ることができず、モンテカルロシミュレーションによる評価にとどまっている。 一方、通信路推定と通信路トラッキングのための研究は進展した。LTEの下りリンクで使用されるシングルキャリアFDMA(OFDM)方式の通信路推定の研究を進め、低計算量で性能限界に近い性能を示す手法を開発した。提案手法は計算資源の乏しい移動端末に実装可能であり、今後応用上重要になると考えられる。この成果を、2012年3月に開催された信号処理の世界的な国際会議IEEE International Conference on Acoustics, Speech and Signal Processing 2012で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スパース信号に関する研究は多くあるが、スパース性を判定するための閾値が性能に大きく影響するにもかかわらず、問題に応じて経験的に閾値を設定しているのが現状である。通信路のスパース性の判定も同様である。実際にスパース性を利用するためには、なんらかの意味で最適になるよう閾値を設定する手法の開発が必要であるが、十分に実現できていない。
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今後の研究の推進方策 |
上で述べたようにスパース通信路の有意な係数の判定規範で使用する閾値の解析的表現の導出は困難である。 本研究課題を実現するため、モンテカルロシミュレーションにより閾値を設定し、その閾値を利用するパイロット信号の設計を行う。適切なパイロット信号の個数、配置、パイロット信号とデータ信号の電力配分を、シミュレーションにより決定し評価する。
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