マイクロロボットや生体内インプラントと体外の装置との医療データのリアルタイム伝送の観点から、伝送速度向上を目的として、外部ノードと生体内バイオセンサノード間のリンク形成を、高周波信号を直接的に注入することにより行うことを目標とした。生体の電気的インピーダンスのリアクタンス分を補償する等化回路を介して所定周波数の信号注入により効率的な信号伝送を行い、通信制御信号伝送の高速化を図る。 平成23年度までの基礎検討結果をベースに、バイオセンサネットワークシステムの構築に向けた検討が主たる検討項目であった。しかしながら、ポジショニングに際しての商用周波数による誘導雑音の影響が大きく、これを除去するための工夫を最優先して検討を行った。その上で、生体に直接注入する高周波信号の最適周波数のもとで通信制御信号伝送実験を行った。電磁波の取扱いの容易なHF帯において、アンテナ同調整合器を応用した直接注入整合器を作製し概略の動作を確認した。本検討結果をVHF帯に拡張するとともに、実際のデジタル変調波を生体中に注入したときの伝送特性についてとりまとめた上で、論文として投稿する準備を行いつつある。 実際のシステム構成については、位置検出データやバイオセンサ取得データをピコセルネットワークを介してサーバに伝送するモデルの基礎検討を行った。PIC(Peripheral Interface Controller)を用いたセンサノードでの信号伝送については、ハードウェア環境の整備を行った。これについては、最終の動作確認ができ次第、外部発表を行う予定である。
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