研究概要 |
小学生と中学生を対象に,成長に伴い変化した顔画像の認証を行う研究を引き続き行った。これは,幼小期において撮影された顔画像を登録顔画像として,年齢変化が生じた後の人物の認証を行うことを目的としており,成長による顔の構成要素の形状変化及び位置変化の影響を受けない人物認証を行うことを目的としている。今年度は,成長により,各顔画像の目,鼻などの部位の特徴点がどのように移動するかを調べるとともに,成長により変化の少ない顔の部位を画像を観察することにより求めた。まず,前者に関しては,15名の中学3年生の男子生徒の顔画像と同一人物が小学6年生のときの顔画像に特徴点を付加し,成長により,各特徴点がどのように移動するかを求めた。なお,各顔は黒眼の幅と位置で正規化されたものである。これにより,目がやや広がり鼻が伸びるという特徴が得られた。また,その移動量には個人差があり,ある程度の範囲で分布することがわかった。またこのことにより,本研究者が提案したブロックマッチング法による探索手法が有効性を確認することができた。後者に関しては,同じ15名の男子の小学生及び中学生のときの顔画像から,目,眉,鼻を切り出し,被験者が各部位のみを観察して同一人物の対応付けをどの程度の精度で可能かについて実験を行った。この結果,目や眉では,同一人物を正しく認識できない場合が数件あったが,鼻を見ると同一人物を高い精度で正しく認識することができた。以上のことより,先のブロックマッチング法に,成長に伴う部位の移動と鼻の形状を考慮する機能を付加することにより,従来の方式の特性を改善可能であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的に書かれてあるように,顔の各部位の成長による移動ベクトルの分布を求めた。また,人の成長により変化しない特徴成分を求めることになっているが,この特徴成分として,鼻の形状が挙げられることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
顔の各部位の移動ベクトルの中心ベクトルを求め,これらの中心ベクトルで顔の各部位が移動したことを考慮したブロックマッチング法を開発する。特に,鼻の形状に着目し,鼻の箇所に重点を置いたマッチング評価を行う方法を開発する。また,ブロックマッチングの計算を高速化するため,FPGAによるブロックマッチングの実装を行う。
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