研究概要 |
この研究の目的は、「広帯域高分解能分光画像群の個人認証への応用可能性を示すこと」であり、具体的にはこの装置で観測した広帯域高分解能分光画像群を用いて次の可能性を示すことである: 1.いままで用いられなかったと思われる560nm近傍の狭い帯域の画像数十枚を用いふさわしいアルゴリズムで処理すると,これらの画像データがある特定の個人のものであるか否かを予測できる。 2.560nmから800nmまでの帯域での複数の波長に対して各々狭い帯域の画像数十枚を統合しても、これらの画像データがある特定の個人のものであるか否かを予測できる。 560nm近傍の光は可視光帯域に属するが,手のひら表面のみが見えているわけではないと考えられるので、ここで報告する予測手法はいわゆる掌紋認証ではない。 波長396:37nmから989:71nmまで0:93nm刻みで640枚の画像データを約10秒間で採取する装置で人の手のひらを撮影すると、手のひらの"波長¸でパラメタライズされた広帯域高分解能分光画像群"が得られる。これらの分光画像群の個人認証への応用可能性を示した。個人の特徴は次のように得られる: 1.分光画像群から複数の代表的波長を選ぶ 2.各波長近傍にある多数の画像にいくつかの前処理を行う 3.代表波長ごとにスコアを計算する 4.これらのスコアを統合して本人・他人を予測する また560nm近傍数十枚からの画像のみから個人に固有な画像抽出の可能性も示した。この帯域における光は、酸化ヘモグロビン、脱酸化ヘモグロビンとも吸収係数が相対的に近赤外帯域よりも大きいため、体表から深い部分にある太い静脈は明承的に見えず、手の表面およびその直下の状況を反映していると思われる。
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