研究概要 |
情報量の急激な増大にともない、高い符号化率の誤り訂正符号が望まれる。本研究では、高符号化率を比較的容易に実現できるパンクチャド畳込み符号を対象とし、この符号と同一の性能を有する畳込み符号(等価符号)を利用して、超高符号化率の誤り訂正符号を効率よく構成することを目的としており、以下に述べる成果が得られた。 1. 高符号化率パンクチャド符号を探索するための種々の実行プログラムを開発した。 (1) 報告者らが開発した、畳込み符号の重み分布を効率的に計算する双方向木探索法を高符号化率畳込み符号に適用できるよう改良を加えた。この双方向木探索法については、電子情報通信学会の英文論文誌に発表した。 (2) パンクチャド符号はR=1/2,1/3などの低符号化率の畳込み符号と消去器を組み合わせて構成される。またあるパンクチャド符号には同一の出力を生成する高符号化率の等価符号が対応する。パンクチャド符号と等価符号とを相互に変換するプログラムを開発した。 2. 上記の作業を経て、高符号化率パンクチャド符号の探索を行った。 (1) 符号化率R=1/2,1/3,1/4の原符号について、全数探索によりR=(n-1)/nの最良パンクチャド符号を決定した。符号化率はR=4/5,5/6,...,11/12の範囲とした。ここで重み分布の計算は、等価符号に対し双方向探索法を適用して行った。その結果、従来法では困難であった高符号化率の領域での最良符号が多数得られた。 (2) 良好な性能を有するパンクチャド符号を生成する原符号の生成多項式を適当に組み替えてより符号化率の低い原符号を構成すると、より性能の優れたパンクチャド符号が得られることがわかった。従来、パンクチャド符号の明確な構成法は知られていなかったが、本方式はこれに対するひとつの指針となり得ると思われる。現在これらの成果を公表する方向で準備を進めている。
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