線形動的システム理論に基づく一般化スプライン関数として生成されるパルス波形による極近距離高速ディジタル無線通信システムを構築するための数学的および実験的研究を行った。 数学的成果は、パルス波形が存在するための必要十分条件を、パルス生成フィルタの動的パラメータに係る条件として明らかにしたことである。この条件下でパルスは実数値または複素数値になる。パルスが実数値になるための条件を解きほぐすことは大変困難であることもわかった。これらの成果は、国際会議IEEE Industrial Electronics Conference 2010で発表され、学術論文誌Sampling Theory in Signal and Image Processingに掲載決定となっている。 実験的成果は、市販の広帯域アンテナの周波数特性を計測したことである。その特性が低次の動的システムとしてモデル化できないこともわかった。そこで、単純な微分系の特性をもつと期待される微小ループアンテナ対を設計・試作した。その特性計測とモデル化は、平成23年度に行いたい。 これらの成果および平成23年度の研究によって、最大伝送速度6Gbpsを達成できるパルス通信方式の基盤技術が確立される見込みである。
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