研究概要 |
日本語文から機械的に論理式を生成し、それを用いて効率的に推論する手法の確立を目指し、今期間は主に日本語向き概略推論法、自由対話システムの高度化、共起データを利用した概念ベースの解析と評価について研究した。 1. 日本語向き概略推論法:これまで開発してきた類似知識を活用し概略的な解を得る推論法(ARSK)の改良を行った。具体的には,日本語文への適用を目指し、従来の導出処理に意味処理機能を付加した方式とした。これは、親節"A∨B"と"¬A'∨C"から、A'がAを意味的に包含する場合あるいはそれらが類似している場合に導出節として"B∨Cを導くものである。さらに、これら方式を用いた新たな推論エンジンを開発した。 2. 自由対話システムの高度化:代表的な推論方式である"演繹"、"帰納"、"発想"のメカニズムを利用した対話機能を提案した。これらは、それぞれ質問応答に対する回答、対話からの常識知識獲得、推定発話の生成に利用する。また、対話システムの具体的な応用として、今後の高齢化社会を意識した備忘録機能を備えたシステムを開発した。これは、対話を通して獲得した事実知識を記憶しておき、時間や場所、あるいは物の移動等に関する質問に回答するシステムである。 3. 概念ベース関連:概念間の意味的な関連性を判定するためのツールとして開発してきた、共起データを基にした概念ベースの改良と性能評価を行った。また、これまで構築してきた概念間の意味的類似性の判定ツールをホームページで公開したところ、慶応大、電通大、山形大等5大学6研究室から利用したいとの要望があり、利用法等をまとめ提供した。
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