日本語文から機械的に論理式を生成し、それを用いて効率的に推論する手法の確立を目指し研究を進めた。今期間は、日本語文の拡張型述語論理への自動変換法(論理式生成)、これを用いた推論法、自由対話システムの高度化、共起データを利用した概念ベースついての研究を総括すると共に、これらのツール化を行った。また、これら技術のインターネット上での公開を目指した。 1.論理式生成:これまで開発してきた論理式生成法のツール化、総合的な性能評価を中心に行った。ツール化した本プログラムは研究室内のサーバに収容し、インターネットを通して利用可能とした。また、これらについて以下の推論エンジン、対話システムと合わせデモ・講演を行った(人工知能学会)。 2.推論ツール:類似知識を活用し概略的な解を得る推論法(ARSK)の改良とツール化を行った。具体的には、日本語文への適用を目指し、従来の導出処理に意味処理機能を付加した方式とした。ツール化に関しては、ひとつのプログラムモジュールとしてまとめ、他の応用システム中に組み込み可能とした。また、具体的な利用法等をマニュアルとしてまとめ、関係者に配布した。 3.自由対話システム:自然な対話を実現するため、今年度は、主に対話コーパスを利用する方法について研究した。本手法は、まず発話文に類似するコーパス中の文の次の文を応答文候補とし、次に発話文中のキーワードと上記候補文の前後の文中のキーワードを比較し、応答文を決定する方法である。評価の結果、これまでの手法に対し、応答文の適切度を20%程度向上できた。 4.概念ベース関連:概念間の意味的な関連性の判定用として開発してきた、共起データを基にした概念ベースのツール化を行い、具体的な利用法等をマニュアルとしてまとめ、関係者に配布した。
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