本研究は、低炭素社会と高齢化社会における重要な要因である輸送部門、特に地域のミクロな個人輸送の手段・目的別需要に焦点を当て、生活パターンに基づいてプラグインハイブリッド車(PIHV)やバイオマス燃料自動車の温暖化ガス排出削減効果の分析を行うものである。平成22年度は栃木県を対象とし、パーソントリップ調査に基づいて宇都宮市8地域のほか栃木県を19地域に分割し、地域間の移動距離、目的、手段を世帯構成、年齢、さらに自動車の保有台数や種類別にデータベース化し、移動距離が使用者の属性に対しどのように分布するかを明らかとした。この結果、移動距離はほぼ対数正規分布に従うこと、地域、職業によるパターンの差は認められないことなどが示された。さらに保有する自動車の種類は都市中心部からの距離に対応して変化することや家族構成別全エネルギー需要推計結果と合わせ、EVあるいはPIHVへの乗り換えを行った場合、乗用車を乗り換える場合は効果があるものの、軽自動車の乗り換えでは効果は小さいものとなった。さらに、EVの効果をより詳細に評価するために家庭部門へのPV導入とこれによるEVへの充電効果評価モデルを開発した。結果、自動車の利用時間帯によっては効果が小さいことが示された。
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