研究課題/領域番号 |
22560408
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研究機関 | 福井工業大学 |
研究代表者 |
金江 春植 福井工業大学, 工学部, 教授 (90274555)
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研究分担者 |
和田 清 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (60125127)
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キーワード | 呼吸モデル / 人工呼吸 / エラスタンス / ファジィ推論 / 換気条件 / 非線形 |
研究概要 |
人工呼吸の換気条件は患者の体重を目安に、医師が経験的に設定するのが現状であるが、呼吸システムの特性は人によってそれぞれ異なり、患者の呼吸システムの特性を迅速かつ的確に検知し、これに基づいて患者に適した換気条件を設定することが本来のあるべき姿であると考えている。本研究では、人の呼吸システムのダイナミクスが表現できる汎用性のある数式モデルを構築し、各患者の呼吸システムを特徴付ける肺のエラスタンスや気道のレジスタンスなどのパラメータを、人工呼吸中に計測可能な気道気圧、空気流量や空気体積などのデータに基づいて推定し、この推定結果を根拠に論理的に換気条件を決めるような、人工呼吸医療支援の枠組みを提案するのが基本的な狙いである。 前年度の研究成果を踏まえ、本年度の研究では、呼吸システムのダイナミクスを表現するモデルとして提案した関数型SIRMs(Single Input Rule Modules,単一入力ルール群)ファジィ推論モデルについて解析し、呼吸モデルの評価の一つとしている静的P-V曲線の推定誤差が比較的大きい原因は呼気と吸気の気量区間を別々にして、さらにそれらをsmall,medium,largeの各ファジィ変数に割り当てていることであると解明し、新たに呼気と吸気両相のデータを結合して、後件部を推定する方法を提案し、静的P-V曲線の推定誤差を大幅に低減した。また、呼吸モデルの評価として、情報量基準の考え方を取り入れ、赤池情報量基準(AIC)およびベイズ情報量基準(BIC)の具体的な評価基準を提案し、それぞれの基準に従ってモデルの構造を最適化するGAの構造最適化手法を提案した。これらの成果により、呼吸システムのダイナミクスを表現するモデル構築に基礎的な知見を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的には計画に沿って研究を進めていた。
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今後の研究の推進方策 |
今までの研究の結果を踏まえ、次年度においては、ファジィ推論を用いた呼吸システムのモデリング方法との親和性を考慮しつつ、気道気圧上限値や呼気吸気時間などの換気条件のファジィ決定法を開発する。また、適応型オンラインパラメータ推定法を改良するとともに、インターネット越しの人工呼吸モニタリングシステムの開発する予定である。
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