本研究は圧電高分子中で最も電気機械結合係数値の大きい[P(VDF/TrFE)VDF75mol%]を用いて、接着剤を用いずに直接パッキングプレート上に塗布し、2~3MHzで動作する50dBの超高感度トランスデューサを開発することを主幹とし、本年度は以下の項目に重点をおいた。 1.溶液を基板上に300μm程度の厚みをもつP(VDF/TrFE)を製作し、基板と膜とがそれぞれ剥離しないレゾネータ開発技術を確立する。 2.上項1.で製作した圧電膜をポーリング(分極)処理を行いトランスデューサの効率を求める。 3.上項2.で開発したトランスデューサにより、透過画像形成のための透過予備実験を行う。成果について(上述1~3に対応) 1)圧電膜と基板との剥離防止対策はまだ十分ではないが、基板の材質・基板表面の加工・熱処理の方法などを様々に行った結果、ほぼ剥離対策技術を確立した。 2)高圧電源によるポーリング法を確立し、厚さ250μm・電場100MV/m・動作中心周波数2.5MHzで60dBの感度をもつトランスデューサの開発に成功した。 3)上項2)のトランスデューサ(φ16mm)を用いて、透過実験を行ったところ、厚さ3mmのアクリル板等は十分に透過する。また、厚さ3mmのLSI(内部に0.5mmの金属板在中)も超音波(2.5MHz)を透過する事を突き止めた(一部画像形成済み)。 現在、引き続きトランスデューサの開発(積層)を行い、トランスデューサにマッチング回路を追加して、50dB台を目指している。また、良質な画像を形成中である。
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