研究課題
本年度はシステム構築のため、まず波動伝搬の数値シミュレーションを用いて可視化アルゴリズムの検証と各種設計パラメータの決定を行うとともに、2次元問題として実験を行った。理論的には、可視化する空間を覆うようにマイクロホンアレイを設置すれば、場の完全な再構成が可能であるが、実際には素子数などの制約があるため、少ない素子数で精度良く可視化像を得るためのアルゴリズム開発とパラメータ設定について検討を行った。同時に実際に可視化システムを構築し実機による検証も行った。詳細は以下に示す。可視化アルゴリズムの開発可視化法は2種類検討した。一つは医療などの分野で用いられる断層影像法(CT法)を応用して音波伝搬時間から金属ビレット内部の欠陥を検出するシステムに発展させたものである。これは内部欠陥の傍を波動が回折することを利用するもので、経路が直線ではないことから生じる伝搬時間増加を利用するものである。もう一つは時間反転波のシミュレーションに基づくものである。これは解析領域を囲む吸収境界に入射した音圧信号を時間反転して境界に入射するものであり、前者の手法より送波回数が圧倒的に少なくなるのが利点であるが、可視化像には多くのアーチファクト(虚像)が発生する欠点もある。これをなるべく軽減するアルゴリズムを考案し実装を行った。両手法とも後述の装置により検証を行った。計測システムのセットアップと検証実験まだアルゴリズムの検証段階であることと、超音波トランスデューサをアレイ化するのはコストの問題もあることから、本年度は送受波で一対のトランスデューサをそれぞれスキャンすることでアレイの代用とした。CT法の計測システムはトランスデューサのスキャンには3次元空間を自在にスキャンできるステージを用いて構築した。逆伝搬法の検証は無響室内に音源と反射物体を設置し空中音波用送受波器をリニアステージでスキャンして行った。また応用例としてトンネル内の異常音検知のシミュレーションも行った。
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Japanese Journal of Applied Physics
巻: 49 ページ: 07HC13_1,07HC13_6