研究概要 |
聴覚障がい者が安全に社会生活を送れるよう、身の回りの「音」の種類と方向をリアルタイムに検出認識し伝達する装置について研究開発する。人間の聴覚神経機構をパルスニューラルネットワークによりFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)上に実装することで実現する。また、認識結果を使用者に素早く伝達するため、聴覚障がい者に広く普及している腕時計型特定小電力無線通信端末との一体化を図り、情報伝達の機動性を確保する。本研究は、高齢化社会を迎え老人性難聴者の増加が危惧される状況であり、社会的にニーズの高い研究開発である。22年度は下記の事項について研究を行った。 (1)指向性のマイク2本を用いて,前後方向は音圧差,左右方向は時間差による水平方向360度に対する45度刻みの音源定位を実現した.音をパルス列で扱うことや特徴ベクトルの要素を全て0,1で表現することでハードウェアの実装に適した手法とした. (2)FPGA内部にオンチップラーニング機能を実現した。本機能により、現場で2秒間録音収集した音を装置上で即座に学習でき、その後は同じ音について95%以上の精度で正しく認識できることを確認した。 (3)周囲騒音レベルより10dB以上大きな音(火災警報器、ドアチャイム、電話呼出音、パトカー、救急車、消防車、人の声など)を95%以上の精度で正しく認識できることを確認した。 (4)ドアノック音など間欠音について認識できるアルゴリズムを考案した。
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