研究概要 |
聴覚障がい者が安全に社会生活を送れるよう、身の回りの「音」の種類と方向をリアルタイムに検出認識し伝達する装置について研究開発する。本研究は、高齢化社会を迎え老人性難聴者の増加が危惧される状況であり、社会的にニーズの高い研究開発である。 23年度は下記の事項について研究を行った。 (1)FPGA実装ファームウエア検討と基板設計・実用化試作装置製作 音源認識パルスニューラルネットワークモデルをFPGAに実装するファームウエアについて、ファームウエアの規模最適化を検討し、回路規模を必要最小限とするよう検討した。その上で、ハードウエア化する基板の基本設計を行った。 (2)ハードウエア基板製作とFPGAファームウエア実装 マイク、増幅器、アンチエイリアスフィルター、ADコンバータ、FPGA、マイクロプロセッサ、と特定小電力無線通信送信器を一体化するハードウエア基板の詳細設計と製作を行った。そして、FPGAに、音源認識アルゴリズムをファームウエア実装について90%終了し、速やかに完了する予定である。 (3)複数音源定位情報に基づく複数音分離認識 パルスニューラルネットワークによる複数音源定位システムを構築し,得られる定位情報を複数音分離認識に適用した.音源に近いマイクの入力が先に変化するという考え方を基に,システムが音を認識するタイミングを用いて各音源の方向を検知し、取得した各音源の定位情報を用いて音源の種類を分類する方式について基礎的な検討を行った。 (4)聴覚支援システムの屋外使用に関する検討 我々が研究開発している聴覚支援システムを屋外で使用することを目的とし、シニアカーに聴覚支援システムを搭載し屋外での機能試験を行った。その結果、救急車のサイレン音や自動車の走行音を正く検知できることが確認できた。
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