聴覚障がい者が安全に社会生活を送れるよう、身の回りの「音」の種類と方向をリアルタイムに検出認識し伝達する装置について研究開発した。本研究は、高齢化社会を迎え老人性難聴者の増加が危惧される状況であり、社会的にニーズの高い研究開発である。 24年度は下記の事項について研究を行った。 (1)FPGA実装ファームウエア検討と基板設計・実用化試作装置製作 23年度に引き続き、音源認識パルスニューラルネットワークモデルをFPGAに実装するファームウエアについて、ファームウエアの規模最適化を検討し、回路規模を必要最小限とするよう検討した。 (2)ハードウエア基板製作とFPGAファームウエア実装 マイクロホン・増幅器・アンチエイリアスフィルター部分をデジタルIC化することでSN比を大幅に改善した。ADコンバータ、FPGAをあわせて、ハードウエア基板の詳細設計と製作を行った。そして、FPGAに音源認識アルゴリズムをファームウエア実装行い試作機を完成させ、機能試験を行った。その結果、ピンクノイズ60db状態でSN比0dB程度でも音認識できることがあきらかとなった。現在、実用化に向けて計画中である。 (3)複数音源定位情報に基づく複数音分離認識 23年度に引き続き、パルスニューラルネットワークによる複数音源定位システムを構築し,得られる定位情報を複数音分離認識に適用した.音源に近いマイクの入力が先に変化するという考え方を基に,システムが音を認識するタイミングを用いて各音源の方向を検知し、取得した各音源の定位情報を用いて音源の種類を分類する方式について基礎的な検討を行った。
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