本研究の目的は、生活の質(QOL)の向上を目指し、筋活動モニタリングのための光・電気・振動多点同時測定システムを確立することである。そのために、光・電気・振動一体型センサを提案する。提案センサは、生体の同一空間内において、光・電気及び振動特性の同時測定を可能とするものであり、そられの測定値により筋活動診断の能力の向上を図ろうとするものである。本研究課題では、提案センサを確立し、実際に、筋活動計測を試み、本手法の有用性を評価するとともに提案センサを用いた生体応用計測について検討する予定である。 本年度は、前年度に行った成果をもとに、複数の被験者の筋活動解析及びモニタリングを行い、提案センサの有用性を評価した。まず、前年度からの測定精度の改善及びセンサ構造の最適化を図るために測定システムを改良した。発光素子としてこれまで2つのLEDを利用していたが小型化と測定精度の改善のために3波長発光可能な1つのLEDに変更した。また、筋電及び筋音測定のための電極としてITOをもとにしたセンサを用い、すべての素子を積層化することで小型化を図った。実際に、提案センサにより、複数の被験者の前腕における筋電、筋音、NIRSの同時測定を行った。結果から、提案センサにより、同一部位での筋電、筋音、NIRSの3種類の情報を得ることが可能であった。また、負荷の程度によりそれぞれの測定値に変化が見られたことから筋活動解析及びモニタリングの可能性が示唆され、今後の応用計測のための基礎データが得られた。
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