研究概要 |
本年度では,まず海外研究協力者の協力を得て,上海復旦大学付属医院で計7名の擬似脳死患者(昏迷患者と脳死者が両方いる)に対して延べ20回以上の脳波を計測した.現時点では測定したデータを,研究チーム内で保存と活用をしているが,必要に応じて関係者に配布し,この研究を広めて行くと考えている.これらのデータは本研究の遂行に不可欠なものである.次に弱脳活動成分解析と識別ための複雑度(ApEn)などの計算アルゴリズムを開発した.強い環境雑音の除去や弱活動成分の抽出にはICAなどのアルゴリズムが援用されている.さらに患者症状変化過程の監視するためのダイナミックApEnやICA+ApEn融合の計算アルゴリズムを開発し,開発されたアルゴリズムの実用性を高めるため,患者脳死判定のブラインドテストを行った.現時点では7名の患者データを解析した結果を,臨床医者判定の結果と照合し,照合した結果がほぼ一致していることが分かった. 本年度の研究成果としては,著書(Springer社)に1篇(章節),著名な国際ジャーナルに7篇,国際会議に7篇,計15篇の論文を公表した.また,2010年6月中国上海で開催されている国際会議International Symposium on Neural Network(ISNN 2011)において,国際神経回路学会(International Neural Network Society)による「Best Student Paper Award」を受賞した.受賞した論文はL. Li, Y. Xia, B. Jelfs, Jianting Cao and D. P. Mandic"Modelling of Brain Consciousness based on Collaborative Adaptive Filters"で,国際ジャーナルNeurocomputing, ELSEVIERに採録され,来年度に掲載予定である.
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