研究概要 |
本年度では,まず海外研究協力者の協力を得て,上海復旦大学付属医院で計8名の擬似脳死患者(昏迷患者と脳死者が両方いる)に対して延べ15回以上の脳波を計測した.現時点では測定したデータを,研究チーム内で保存と活用をしているが,必要に応じて関係者に配布し,この研究を広めて行くと考えている.これらのデータは本研究の遂行に不可欠なものである. 患者脳波エネルギー計量と識別の研究については,まずチャンネルごとで信号分解のEMDアルゴリズムは多チャンネル同時に信号分解のMEMDアルゴリズムに拡張され,それを擬似脳死患者のEEGデータ解析に適用し,脳波エネルギー積算の効率を向上した.次に強い環境雑音の除去や弱活動成分の抽出ためのICAなどのアルゴリズムを援用し,ICA+MEMD融合の計算アルゴリズムを適用することにより,脳波エネルギー積算の精度を向上した.MEMD研究のほか,新たな複雑度計量法,フィルタ理論や複雑ネットワーク理論に基づいたアルゴリズムなどを,本年度では多数開発し,多くの研究成果を得ている(公表した論文参照). 本年度の研究成果としては,著名な国際ジャーナルに9篇,国際会議に5篇,計14篇の論文を公表した.そのなか,昨年国際神経回路学会(International Neural Network Society)による「Best Student Paper Award」を受賞した論文(L.Li, Y.Xia, B.Jelfs, Jianting Cao and D.P.Mandic "Modelling of Brain Consciousness based on Collaborative Adaptive Filters")が国際ジャーナルNeurocomputing,ELSEVIERに公表された.
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