本申請研究では、振動膜等の物体を一切用いず光で音を直接検出する方法、もしくは光の中から音情報を取り出す方法(光波マイクロホン)を提案し、それを高性能化及び高機能化するための開発研究を行っている。 本年度は、SN比改善の研究と性能改善(周波数特性の拡大)に関する研究を実施した。 (1) オートバランス光レシーバ方式光波マイクロホンの検討 受信した光をビームスプリッタで分割し、信号光と局発光に分けてオートバランスレシーバに入力し、レーザノイズの低減効果を調べた。この信号処理システムで20dB程度のノイズ低減が容易に達成できることを実証した。 (2) 情報処理手法(相関法、独立成分分析法)によるSN比改善策の検討 音により生じた観測面上の2つの回折像を2分割光検出器により電気信号に変換し、それらの出力信号間に相関分析や独立成分分析などの情報処理手法を適用することでSN比を改善することを目指している。これらの処理ソフトの一部を作成した。さらに、それらを完成させるための作業を継続している。 (3) 可聴帯~100kHz帯の音検出の検討 理論解析によれば光波マイクロホンは短波長(高周波)音の測定に優れる特性を有している。本研究では測定領域を可聴帯から高周波側(100kHzまで)へ拡大する実験を行った。この周波数バンドで十分計測ができることを実証した。
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