研究概要 |
軸重計は走行中の車両の軸重(左右の車輪を一対にして軸と呼ばれる)を計測する装置である.本研究課題の目的は軸重計を用いて高速走行車両の軸重を高精度で計測するための方法(主として信号処理法)を確立することにある.軸重計は軸重を計測するのが目的であるので,2軸が同時に乗らないように,計量台の幅(車両進行方向)はタイヤの直径にほぼ等しく設計されている.軸重計は車両の走行中に計測を行うので,車両振動の影響を受ける.すなわち,検出部(載荷板とロードセルからなる)から得られる信号には車両が走行する事による車体の振動成分が重畳される.その成分を除去しない限り精度良い軸重値は得られない.さらに,車速が高くなるにつれ,タイヤが載荷板上を通過する時間が短くなり,精度良い測定値を得ることは一層難しくなる.この問題を解決するために,まず,研究室内で実験できるように,小型の軸重計(計量台と車両のための走行レーン)を製作する.また,走行中の車両の運動(振動)状況が詳細に記録できる特殊な計測車両のミニチュア模型を開発する.これを用いることで,高速で走行中の車両の運動と軸重計からの信号の相関の研究が可能となる.現在,走行車両で発生する振動を信号として取得し,軸重計信号との相関関係を明らかにするための装置は存在しない.小型の軸重計と計測車両のミニチュア模型を製作し多様なデータを取得することから始める必要がある.本年度は試作第一号装置として,1/10スケールのラジコン模型をベースにして小型の計測車両を製作し,加速度計の設置方法やデータ取得装置を検討した.得られた加速度データを解析した結果,車体は定常振動していることが分かった.また,1/10スケール模型に対応した軸重計も設計・製作し,ロードセルの設置の方法や載荷板の搭載方法を検討し,データも取得した.これらの装置から改善点を洗い出し次年度の装置製作に活かす.
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