本研究では、下層大気圏下における3次元降雪プロファイルを高分解能で測定する新システムの開発を行った。小型垂直ドップラーレーダを一定距離間隔で3台、三角形の各頂点に配置し、各レーダから得られた鉛直方向降雪プロファイル相互の時空間解析を行い、レーダで囲まれた三角地帯内の3次元降雪プロファイルの解析を試みた。更に、この三角地帯内を落下する降雪粒子映像を画像解析し、降雪雲から地上付近までの下層大気圏下における降雪過程を詳細に測定するシステムの構築を行った。今年度は、主に以下の項目について研究を行った。(1)高分解能3次元降雪プロファイル測定システムの構築を目指して、小型垂直レーダ3台の配置および測定条件の最適化を試みた。なお、レーダの3台の仕様が異なるため、1台のオーバーホールを本研究経費で行い、仕様の一部統一を行った。更に、前年度の降雪プロファイルの面分布測定の問題点を参考に本システムの改良を行い、冬季期間の観測・測定を行った。その結果、三角地帯内空間におけるレーダ反射因子の測定が可能となった。(2)高解像度のCCDカメラを使用し、三角地帯内の地上付近を落下する降雪粒子の雪質(含水率、密度)および内部構造(雪結晶の構成具合)を測定するシステムの開発を行った。その結果、降雪粒子画像から、レーダ反射因子および降雪強度の関係を自動測定し、小型垂直レーダのレーダ反射因子と良い相関が得られた。
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