昨年度までで,本研究テーマの基本的な研究成果が得られたことから,最終年度である本年度は,別アプローチの検討やさまざまなメカトロ制御システムへの適用可能性の検討を行った。具体的には,交付申請書に記載した (1) シミュレーション及び実験による有効性検証 (2) 別アプローチの検討と横展開 (3) さまざまなメカトロ制御システムへの適用可能性検討 (4) まとめと論文執筆の4項目を行った。(1)については,多項式化における数値条件の悪化に関する検証を行った。(2)については,(1)の検証結果を踏まえ,微少な終端誤差を積極的に許すことで,数値条件の悪化を防ぐ手法を提案し,学会発表を行った。さらに,限られた電源電圧のもとで十分な制御性能を達成するための軌道生成法の検討を行った。結果的に消費電力も低減することから,エネルギー効率の改善にも寄与できる。多項式化の前の初期検討結果については,電気学会への論文掲載の形で良好な評価を得ている。(3)については,液晶露光装置への適用検討を行った。液晶露光装置では,サンプリング周期に比べて位置決め時間が比較的長く,軌道データ量が膨大になることから,多項式化によるリアルタイム生成が不可欠であり,提案手法の有用性が発揮された。最後に(4)において,研究のまとめ総括を行い,未公表の研究成果については,論文執筆等の準備を進めている。全体を通して,未だ改善すべき点は多少残されているものの,当初予定していた目標をほぼ達成することができた。
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