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2012 年度 実績報告書

国際規格に準拠してレンジ逸脱に対する安全性を制御則で実現する日本発の新技術

研究課題

研究課題/領域番号 22560440
研究機関東京海洋大学

研究代表者

陶山 貢市  東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (80226612)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2014-03-31
キーワード安全性 / 国際規格 / 制御システム / 制御レンジ / 制御性能 / 制御則 / 耐故障性 / ソフトウエア
研究概要

本研究では,IEC 61508 など近年産業界で特に重要性を増している国際規格に準拠した形で,制御則というソフトウエアのレベルで制御レンジからの逸脱対策という高度かつ実際的な安全機能を考える.正常時制御性能などとのバランス及び安全性とディペンダビリティ(広義の信頼性)の区別に配慮し,その安全機能を制御則で実現する新しい技術を安全性,制御の両分野の境界領域に確立することを目的とする.そして,この日本発の新技術により,従来の安全計装の枠を超えてそれを補完することができる新しい安全対策の可能性を提示する.また,国際規格で大きな課題となっているソフトウエアの安全性評価・管理の一つの方向性を示して,世界に対して貢献をすることが目的である.
制御レンジからの逸脱は,(a) 制御系の不安定化・制御性能低下だけでなく,(b) 制御デバイス故障などの初期事象直後の過渡応答の乱れによっても生じる可能性がある.(a)に対する故障時安定性・制御性能の確保対策はディペンダビリティ機能であり,平成19-21年度の基盤研究(C)の研究成果を基礎とした.その上で,(b)に対処する安全機能を考えるため,切替わり前後の外乱に対する応答を考慮した全時間における切替L2ゲインを,過渡応答の乱れの指標とした.そして,それに基づく切替L2ゲイン解析を行うことにより,故障直後の制御レンジからの逸脱の頻度を定量的に求め,制御則の安全性を評価する枠組みを構築し,アルゴリズムの効率化・改良を行った.
また,導入した故障直後の過渡応答の乱れの指標を抑制する制御則設計の枠組みのさらなる整備と細かい点の補足も行った.
以上の安全性評価・制御則設計を実際に行うソフトウエアを,本科学研究費補助金により購入したPCワークステーションを最大限に活用して行った.引き続いて,制御則の解析・設計を試験的に行うための数値例を作成中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究そのものの進展に加えて,(1) 安全性評価で用いた切替L2ゲイン解析の副産物として,サーボ系などを念頭に置いた積分器の安全なリセット方針や制限付き積分器の安全性に関する研究成果や,(2) 制御則設計アルゴリズムの検討の過程での副産物として,むだ時間系に対する制御系設計での代数的な設計ツールを得ることができた.

今後の研究の推進方策

安全性評価・制御則設計を実際に行うソフトウエアは大規模かつ複雑なものである.最終年度となる平成25年度では,本研究成果の実用性を高める意味でも,その継続的な効率化・改良に力を入れる予定である.また,できれば現実に存在するものなど,適当な数値例に対して,制御則の解析・設計を試験的に行い,研究成果の実用面からの検討を行う.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Digital redesign of infinite-dimensional controllers based on numerical integration of new representation2013

    • 著者名/発表者名
      Nobuko Kosugi and Koichi Suyama
    • 雑誌名

      Systems & Control Letters

      巻: Vol.62, Issue 7 ページ: 531-538

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fault-tolerant servo systems against sensor failures using limited integrators2013

    • 著者名/発表者名
      Koichi Suyama and Noboru Sebe
    • 雑誌名

      Proceedings of the 12th European Control Conference

      ページ: 3796-3802

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 自動車用エアバックシステムの機能安全アセスメント2013

    • 著者名/発表者名
      竹市正彦,佐藤吉信,陶山貢市
    • 雑誌名

      自動車技術会論文集

      巻: Vol.44, No.2 ページ: 627-633

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Finite spectrum assignment of multi-input systems with non-commensurate delays2012

    • 著者名/発表者名
      Nobuko Kosugi and Koichi Suyama
    • 雑誌名

      International Journal of Control

      巻: Vol.85, Issue 9 ページ: 1197-1208

    • DOI

      10.1080/00207179.2012.679974

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Safety assessment of control laws using Markov analysis2012

    • 著者名/発表者名
      Koichi Suyama and Nobuko Kosugi
    • 雑誌名

      Applied Mathematical Sciences

      巻: Vol.6, No.95 ページ: 4737-4762

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A new method for solving Bezout equations over 2-D polynomial matrices from delay systems2012

    • 著者名/発表者名
      Nobuko Kosugi and Koichi Suyama
    • 雑誌名

      Systems & Control Letters

      巻: Vol.61, Issue 6 ページ: 723-729

    • DOI

      10.1016/j.sysconle.2012.03.009

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fault-tolerant servo systems against actuator failures2012

    • 著者名/発表者名
      Noboru Sebe and Koichi Suyama
    • 雑誌名

      Preprints of the 7th IFAC Symposium on Robust Control Design

      巻: -- ページ: 499-504

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Integrator reset strategy based on L2 gain analysis2012

    • 著者名/発表者名
      Koichi Suyama and Nobuko Kosugi
    • 雑誌名

      International Journal of Contemporary Mathematical Sciences

      巻: Vol.7, No.39 ページ: 1947-1962

    • 査読あり
  • [学会発表] ヘリコプターの数学モデルに対する耐故障性を有した制御系の設計と確率的安全性評価2012

    • 著者名/発表者名
      大山和也,瀬部昇,陶山貢市
    • 学会等名
      第31回計測自動制御学会九州支部学術講演会
    • 発表場所
      熊本大学工学部
    • 年月日
      2012-12-08
  • [学会発表] センサにおける耐故障性を考慮したサーボ系の設計2012

    • 著者名/発表者名
      隅田紘平,瀬部昇,陶山貢市
    • 学会等名
      第31回計測自動制御学会九州支部学術講演会
    • 発表場所
      熊本大学工学部
    • 年月日
      2012-12-08

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公開日: 2014-07-24  

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