研究概要 |
1.ホロノミーの原理に基づくシステム応答モデル:離散システムモデルとその近似 本年度では,周期入力下におけるシステムの応答モデルの一つの極限として,振舞いの定性的な部分だけを残して可能な限り単純化した離散時間・離散状態型のシステムモデルを提案した.主にこれまで扱ってきた移動体システムを題材として,その振舞いを表現する整数型差分方程式を導くことに成功し,ホロノミーの原理の離散版に相当する周期矩形入力による状態変化のメカニズムについて考察した.また数値的手法により可制御性の解析を行い,システムが局所可到達になるために必要な最小のステップ数について検討した.これは離散システムモデルにおける「次数」に相当する概念と位置づけられる. 2.非線形な動特性を有するシステムの実機実験 非線形な動特性を検証するプラットフォームとして,下記のような移動ロボットの実機実験を行った. (A)揺動により駆動する三脚歩行ロボット:前年度に開発した機体の大幅な改良,またモーションキャプチャを用いた動特性解析環境の整備により,周期的な揺動入力に対して安定した周期的歩行パターンの取得が可能となった. (B)スネークポード(3入力),キャスターボード(2入力),および円筒型移動ロボット(1入力)の各実験システムを新規に開発し,それぞれ異なるダイナミクスにより周期的入力が周期的な移動運動パターンに変換される現象を確認した.特に前者の二種類については,周期入力の平均(零次モーメント)がロボットの進行方向に反映されることを見出し,その影響を定量的に解析した.
|
今後の研究の推進方策 |
前年度までは,応答モデルの解析対象として振る舞いが明瞭なベキ零システム,およびその過程で発案された空間離散モデルの振る舞いを取り扱った.今後は連続モデルと離散モデルの関係,特に離散モデルが連続モデルの振る舞いのいかなる部分に相当しているかを考察するとともに,システムへの周期的な入出力の比較からモデルの性質を特定する方法を検証する.
|