研究概要 |
本研究の目的は,線形システムの同定法である部分空間同定法を基礎に,運動方程式等に基づく非線形性の事前情報を用いる事で,新たな非線形システムに対するモデリング法を提案することである.これまで研究してきたシステム同定に関する研究もさらに進め,物理モデルと統計モデルに基づくモデリング理論の構築を目指す.本年度の成果は,以下の通りである. (1) Twin Rotor MIMO Systemを対象にグレーボックスモデリングに基づくLPV(Linear Parameter Varying)モデリングを行った.いくつかの平衡点近傍で閉ループ部分空間同定法によりローカルモデルを求め,運動方程式に基づいてLPVモデルを構成する方法について考察した.具体的にはローカルモデルを用いる際に,運動方程式からconsistentな状態をそれぞれ求めてLPVモデルを求める方法を提案した. (2) 閉ループ同定の解析を行った.外部励起信号を用いない閉ループ同定が近年さかんに研究されているが,入出力スペクトル密度関数および確率実現における強正実性からの研究はほとんどなされていなかった.そこで,本研究では有限個のデータに基づく閉ループ同定について考慮し,強正実性の観点から閉ループ同定の解析を行い,知見を得た. (3) 異常値がある場合のスペクトル密度関数について解析を行った.異常値が加わる場合と加わらない場合におけるスペクトル密度関数の違いについて調べ,異常値の同定結果に対する影響について考察した.
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