制御入力の数が一般化座標数(自由度)より少ない劣駆動系では、アクチュエータの数が全駆動系に比べて少ないため、コスト、重量、信頼性の点で優れている。しかし、そのような劣駆動系には強い非線形性があるため、劣駆動系の制御に関する研究は挑戦的な課題である。本研究では、劣駆動系に対する非線形制御理論の新展開と体系化を目指し、劣駆動系の物理的構造とその固有の非線形特性を用い、3自由度の劣駆動度(一般化座標数と制御入力数の差)2の系の大域的な安定化制御問題と劣駆動度1の多自由度の劣駆動ロボットの大域的な安定化制御問題を解決することを目的とする。本年度の主な研究成果としては、以下のものが挙げられる。 1. 台車つき直列2重振子を対象とし、エネルギー制御法をその振り上げ制御問題へ適用し、その振り上げ制御則を設計するとともに、その未解決なエネルギーの収束性の解析問題に挑戦し、そのエネルギーが目標値へ収束性を明らかにした。この成果は国際学術雑誌に掲載されている。 2. 任意の1つの関節が非駆動であるnリンクロボットを任意の初期状態から真上平衡点の任意の近傍まで振り上げる制御則の設計、ならびにその動きに関する大域的解析を、非駆動関節で分けられる2つの仮想合成リンクシリーズの逐次的な構築法に基づき、非駆動関節の全ての配置に対して統一的に行った。それより、1つの非駆動関節を有するロボットの振り上げ制御に関する従来の成果を統一的に扱うことのできる理論を確立した。この成果は国際学術雑誌に掲載決定である。
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