昨年度提案した、アトラクターの確率分膚から導かれる評価式に墓づき、本年度は、周期的アトラクターの周期性のゆらぎ、すなわちアトラクターの振輻や周期のゆらぎを確率モデルを用いて評価をおこなった。具体的には、ゆらぎを伴うモデル(確率モデル)に対して以下のような様々な変化を与えて、それぞれの変化に対応するゆらぎ評価値の変化をシミュレーションにより算出することによって、ロバスト性を実現している制御メカニズムを定量的に明らかにした。 確率モデルに与える変化として、まずモデルのパラメータの変化を考えた。どのパラメータをどの程度変化させることによって周期的アトラクターがどのようにゆらぐかを解析した。ゆらぎの評価値の変化から高いロバスト性を与えるパラメータの集合を特徴づけることができた。周期的分子アトラクターの実現のためには分子のフィードバック機構は重要な役割を担っている。しかもそのようなフィードバック機構として様々な形が考えられる。次に、確率モデルに与える変化としてフィードバック機構の変化を考え、ゆらぎの評価に基づいてロバスト性の高いフィードバック機構を特徴づけることを検討した。本年度当初には予定していなかった神経疾患の原因となるタンパク質の性質についても検討し一定の成果を得た。シミュレーション結果についての分析はまだ継続中であるが、現時点では、ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックを比較したときに、周期性を維持しつつゆらぎを抑制する効果はネガティブフィードパックが顕著であることが分かってきた。このフィードバック機構の変化とゆらぎの評価に基づくロバスト性の関係についての分析は来年度も引き続き実施する予疋である。
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