研究概要 |
アルカリ骨材反応の防止や乾燥収縮の抑制に対処するために石灰石骨材の使用機会が増えているが,石灰石骨材は粉体化しやすく(国交省の調査では細骨材中に24%の微粒分を含有),粉体化した石灰石微粒分はコンクリートの品質改善,特に貧配合や低品質骨材を用いたコンクリートの品質改善に有効な混和材料として使用されてきた一方で,過度の使用は弊害(悪影響)を引き起こすことも懸念される。 本研究は,石灰石骨材に含まれる石灰石微粒分量を試験要因とし,石灰石を(1)粗骨材にのみに,(2)細骨材にのみに,(3)細・粗骨材に,使用したコンクリートに対して(1)フレッシュ性状,(2)耐久性能(乾燥収縮,耐凍結融解性,耐硫酸性),(3)強度と変形性状を明らかにし,併せて許容される石灰石微粒分量の限界値を明確にすることによって石灰石骨材の有効利用の促進を図ることを目的として行ったものである。 試験の結果,配合に関しては,最適細骨材率は石灰石骨材に含まれる石灰石微粒分量が増加するとともに小さくなり,所定のスランプを得るための単位水量は増加する。また,石灰石骨材に含まれる微粒分量はコンクリートのスランプや空気量の経時変化には影響を及ばさないが,ブリーディング量は石灰石微粒分の増加に伴って小さくなる。硬化コンクリートに関しては,石灰石骨材を用いたコンクリートの圧縮強度は材齢7日までの初期強度の発現は大きいが,材齢28日以降の強度増加は小さい。石灰石骨材を用いたコンクリートの凍結融解性は通常のコンクリートのそれよりも小さいが,石灰石骨材に含まれる石灰石微粒分の増加に伴って大きくなる。石灰石骨材を用いたコンクリートの乾燥収縮は,細・粗骨材ともに石灰石を用いた場合に最も小さく,細骨材のみに石灰石を用いた場合でも通常コンクリートのそれよりも小さくなるが,石灰石微粒分量は乾燥収縮の大きさにほとんど影響を及ぼさない,等のことが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
乾燥収縮,疲労試験,凍結融解試験は試験に長時間を要するので,試験機の管理・メンテナンスを十分に行い,故障をさせることなく,計画通りの実験を消化する予定である。実験を遂行する上での問題点はない。
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