研究課題/領域番号 |
22560465
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
笠井 哲郎 東海大学, 工学部, 教授 (20266373)
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キーワード | 貧配合コンクリート / スランプロス低減 / コンクリートの保水性 / モルタルフロー / ダブルミキシング / 遠心分離 / 凝集構造 |
研究概要 |
フレッシゴコンクリートのワーカビリティーは、時間経過に伴い低下するため、施工作業に制限を与える。そのためワーカビリティーの向上だけでなくその保持が不可欠となる。中・高強度の富配合のコンクリートにおいて高性能AE減水剤の使用により良好なスランプロス低減効果を発揮するが、本研究で対象とする貧配合コンクリートの場合その効果がほとんど得られない。また、貧配合コンクリートの場合、練混ぜ水の保水状態が流動性を左右すると考えられている。本年度の研究目的は、貧配合コンクリートのスランプロスのメカニズムの解明を指向し、コンクリートの配合の内単位水量のみを変化させ、練混ぜ直後および時間が経過した場合のコンクリートの保水性とスランプの経時変化を測定し、練混ぜ水の挙動がフレッシュコンクリートの流動性の経時変化に及ぼす影響を明らかにすることである。そこで本研究では、貧配合を想定したW/C=50-65%のプレーンモルタルに対し、加水または脱水を行うことにより保水状態を変化させたモルタルに関し流動性を計測し、練混ぜ水の挙動が貧配合モルタルの流動性およびその経時変化に及ぼす影響について検討した。 実験では、従来の練混ぜ方法であるシングルミキシング(SM)とセメントペーストの凝集構造が大幅に異なる練混ぜ方法であるダブルミキシング(DM)により製造したモルタルの特性を評価した。SMで製造したモルタルは凝集構造がDMよりも崩れ易いため、加水および脱水による流動性の変化の影響を受け易く、DMは保水性の高い凝集構造となるため、加水および脱水による流動性の変化の影響を受け難いことが分かった。その結果、モルタルの練混ぜにダブルミキシング工法を適用し、セメントペーストの凝集構造を保水力(自由水が分離し難い)の高い構造とすることで、初期の分離抵抗性の向上だけでなく、時間の経過に伴う保水性が保たれ、スランプロスが生じにくくなることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ダブルミキシングにより脱水だけでなく加水によるフローの経時変化が小さくなることが判明したことは、スランプロス低減のための有効な方法を提案するための重要な成果である。なお、今年度実施を予定していた凝集構造を変化させる手法として増粘剤の添加に関する検討が行えていない。これがやや遅れている点である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、凝集構造を変化させる方法として、増粘剤を少量添加した場合の効果について検証する。また、コンクリートレベルでの検討も並行して行い、貧配合コンクリートのスランプロスの低減に関し有効な方法を提案する。
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