研究課題
鉄筋コンクリートは多くの社会基盤に活用されている。しかしながら近年、鋼材腐食を伴う劣化が進行している既設構造物が、急速に増加している。これは、高度経済成長期に建設された鉄筋コンクリートが、塩害・中性化により老朽化を迎えつつあるからである。したがって、市民が安心・安全・快適に社会基盤を利用し続けるためには、性能が不満足な構造物を見つけ出し、合理的な対策を施さなければならない。以上の背景を踏まえて本研究では、塩分浸透や中性化進行によって鋼材腐食を有するコンクリート構造物に対して、点検・対策の優先順位を決定し、必要に応じて合理的な対策を施す"維持管理システム"を構築する。そのため平成22年度には、以下の3点について研究した。すなわち、(1)何処に立地する構造物において腐食の進行が速いかを把握する技術を開発した。(2)任意の構造物の中で何れの面・部位において腐食の進行が速いかを把握する技術を開発した。(3)既設構造物に対して簡易で定量的に腐食量を点検する技術を開発した。これらの結果、次の成果が得られた。1) 凍結防止剤による塩害に関して、冬期にコンクリート中へ浸透した塩化物イオンの約20%程度は次シーズンまでに外部に流出し、また測定時期により表面塩化物イオン濃度や拡散係数は異なることを明らかにした。2) 気温変化を考慮したコンクリート中鉄筋の腐食速度推定手法を提案した。3) 断面修復部における腐食速度を、マクロセルも考慮して連続的にモニタリングする手法を開発した。
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