研究概要 |
本研究は,鋼コンクリート境界部に生じた鋼材腐食量の推定を目的として,非破壊試験法の開発に取り組む.平成23年度に得られた研究成果を以下に列挙する. 1.鋼コンクリート接合部供試体の電食試験および振動試験 3種類の接合形式に着目して,鋼コンクリート接合部を模した供試体を合計6体作製した.電食試験によってコンクリート内部の鋼材腐食を促進させ,各腐食段階において振動試験を実施した.その結果,鋼材の振動特性については,鋼材腐食に伴う減衰定数の増加傾向が確認できたが,固有振動数の変化は小さいかった.さらに,コンクリート部分の振動特性については,鋼材腐食によるコンクリートのひび割れと鋼コンクリート間の腐食生成物の発生により,固有振動数の低下と減衰定数の増加が確認できた. 2.大型供試体の作製 1.の検討で得られた知見の汎用性を確認するため,特に,供試体の寸法効果に着目して大型供試体を作製した.平成23年度は4体の大型供試体を作製することができた.これらの供試体の電食試験と振動試験の実施は,平成24年度に継続して行われる. 3.実橋から取り出した撤去部材の振動試験 実橋の架け替えに合わせて採取した撤去部材(コンクリートに鋼製柱が埋め込まれる構造形式)の振動試験を行った.鋼製柱周りのコンクリート部分の振動試験では,柱ごとにコンクリート部分の固有振動数が異なり,これらの実測値はコンクリートの物性から得られる理論値よりも小さい固有振動数を示した.このことから,固有振動数の低下に着目して,コンクリート内部の鋼材腐食量が推定できる可能性が示唆された,平成24年度は撤去部材を解体し,コンクリート内部の鋼材腐食状況を調査して,提案技術の妥当性を確認する予定である.
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