研究概要 |
研究計画では,H23年度中に低温下におけるゴム支承実験を終了する予定であったが,現時点でも全ての実験が終了していない。原因は,計画の実験では-30℃まで試験室を冷却するため消費電力が非常に大きく,電力使用量の制限により,冬季からしか実験が始められなかったためである。結局,H23年度中では,低温下の実験が計画の半分程度終了した状況である。常温下おける高減衰ゴム支承,鉛プラグ入りゴム支承,天然ゴム支承のモデルパラメータについては昨年度の実験結果から既に同定済みである。このモデルパラメータを用いた連続高架橋の非線形応答解析を実施し,提案モデルと既存の設計モデルの用いた際の応答値の比較を行った。鉛プラグ入りゴム支承,天然ゴム支承に関しては,速度依存性が小さいことから,高ひずみ域におけるハードニング効果のみを現した簡略モデルを提案した。 また,当初の研究計画には無かったが,上記の検討と平行して高減衰ゴム支承のMullins効果のモデル化の検討も行った。一定ひずみ振幅下におけるMullins効果については,高減衰ゴム支承の応力低下をゴム支承が逸散するエネルギーに関する微分方程式で表した発展方程式を提案し,この発展方程式を用いて高減衰ゴム支承のMullins効果をシミュレーションできる事を示した。今後は,振幅が変化するランダム波に関する,この発展方程式の適用性の検討と,最大経験ひずみが更新された時の検討を行う予定である。
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