常時微動計測に基づく岩塊の不安定性の評価手法の検討 岩塊の不安定性の指標として転倒加速度を用いることを提案し,岩石供試体の常時微動計測結果から簡便な転倒加速度の推定手法として水平/鉛直固有振動数比を用いる方法を提案した.これは,岩塊の安定性に直接関与する岩塊の接地幅(有効幅)が水平/鉛直固有振動数比と岩塊の慣性モーメントで近似評価できることを利用し,慣性モーメントを概算することで岩塊の転倒モーメントを評価するものである.さらに,縦長の形状を有し倒れやすいと考えられる岩塊に対しては転倒加速度がより簡便に「水平/鉛直固有振動数比×重力加速度」だけで近似評価が可能であることを示した.また,長瀞岩畳の二つの岩塊における常時微動計測結果から,水平/鉛直固有振動数比,有効幅,転倒加速度を求めた.この結果,一つの岩塊の短辺方向の転倒加速度が270cm/s/sと他の岩塊と比べて小さく,不安定と評価されたが,この結果は,日本道路公団試験研究所土工研究室による「落石危険度振動調査法」による評価結果とほぼ整合する結果であった.なお,この詳細について日本地震工学会論文集に投稿中(2013/2/13受理)である. 奥多摩町日原における常時微動計測と落石危険度の評価 斜面上にある岩塊や一部が埋没している岩塊についての安定性の評価手法を検討するために奥多摩工業株式会社のご協力のもと,同社採石場にて常時微動計測を行った.その結果,常時微動計測によって得られた岩塊の振動の回転半径が長瀞岩畳地区などの他観測地における結果と同様の傾向が読み取ることができ,今までの研究成果に基づいて斜面上にある岩塊や埋没している岩塊についてもその安定性を評価することが可能であることが確認できた.
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