研究課題
炭酸ガスの地中固定,高レベル放射性廃棄物の地層処分,そしてメタンハイドレードの採掘などが注目を集めているが,これらの事業に共通していることとして,事業展開箇所が地中の深い岩盤が対象となっていることが挙げられる.軟質な地盤と異なり,岩盤の場合,その変形および透水特性は,岩盤に包含される不連続面に支配されることが知られている.特に,掘削過程において応力は複雑に変化し,例えば,トンネル掘削後はトンネルの放射方向の応力が解放され,逆に,周方向の応力が卓越するという偏差的な状態になる.こうした複雑な応力下において,不連続面の変形が進み,同時に周辺岩盤の透水性が増大する可能性がある.また,応力が定常状態になった後でも,クリープ変形などを生じる可能性もある.そこで本研究では,変形試験と透水試験を同時に行うことのできる独自の試験機を用いて,応力変化をともなう透水-変形連成試験を実施し,各種特性について考察することを目的とした.最終年度は,トンネルの掘削時に生ずる応力変化を勘案し,載荷の程度を変化させたクリープ試験(多段階載荷試験)を実施した.4つほどの載荷パターンを考え,透水-変形連成試験を実施した結果,不連続面を包含する供試体において除荷時に透水量増大が確認された.この際,巨視的な変形量にはほとんど変化が見られず,透水量が増えた要因として,不連続面の変形によるということが確認された.それを裏付けるために,変形,荷重,そして透水量といった巨視的な測定の他に,デジタルカメラを用いて局所撮影を行い,事後に画像解析を施すことで,局所的な不連続面の変形を確認することができた.また,透水試験に関して,単なる水を流すだけでなく,荷重の増減を行う際に数種類の顔料を溶かし込んだ着色水を通ずることで,どの段階で,不連続面中のどこを流体が流れたかということについても把握することができた.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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