研究課題/領域番号 |
22560486
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
平野 廣和 中央大学, 総合政策学部, 教授 (80256023)
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研究分担者 |
鈴木 森晶 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (90273276)
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キーワード | スロッシング / 矩形型貯層 / 加振実験 / やや長周期地震動 / 自由表面解析 / 減衰定数 / 加振方向角 |
研究概要 |
2011年3月11日に発生した東日本大震災(M9.0)において、被災地域内の上水道配水施設での大型矩形鋼製タンクの破損や、400Km以上離れた所でのFRP製、ステンレス製の矩形受水槽の破損被害が多数発生した。ここでの被害は、正方形断面容器を組み合わせた形状の受水槽に多く発生している傾向にある。以上の様な被害が実際に発生しており、各種大型矩形断面容器におけるスロッシング現象の把握、さらにはスロッシング対策の必要性が希求されるに至っている。このような背景から、近い将来必ず発生する東海,東南海,南海地震,都市直下型地震に備えて矩形貯槽の動的な挙動を把握することは、社会的に大きなニーズがあると考える。 このような背景を基づき本年度の研究で明らかにしたことは、矩形断面容器の加振方向角を変えて加振させた場合、異なるスロッシング振動が相互干渉を引き起こし、スロッシング挙動に影響を与えることである。特に被害が多発した正方形断面容器は、矩形断面容器とは異なり断面の辺長比が等しく、各辺のスロッシング固有振動数の値が等しくなることである。具体的は以下の項目である。 1.1次モードは、加振方向角45°の場合に隅角部で集中的に波高が大きくなり、ここで最大波高が0°と比較し60%程度大きな値となった。 2.2次モードは、加振方向角が30°~75°の場合に最大波高の40%程度の増加が見られた。 3.正方形断面容器は、加振方向角が変化してもスロッシング固有振動数がほぼ一定であることを確認した。 4.減衰定数は、モード形状や加振方向角に関わらず0.0025~0.0050とほぼ一定の小さい値となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、東日本大震災で多くの受水槽タンクの被害が生じたが、これを調査することで本研究がこの原因究明のための一助となっている。近い将来発生するであろう東海,東南海,南海地震,都市直下型地震に備えての研究として行く予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、スロッシングの制振方法を中心として研究を進めて行く予定である。スロッシングならびにスロッシングから発生する溢流量の算定がおおむねできたことから、これを制振する具体的な方法を提案して効果を確認して行く予定である。
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