研究概要 |
本年度実施した内容は,供試体の製作と,き裂の成長開始と超局速ビテオカメラの撮影タイミングの同期を図る同期装置の開発の2点である.供試体の製作として,エポキシ樹脂を用いて50mm×50mm×1mmの正方形供試体を作成した.厚さ0.05mmのシリコンラバーを45度の角度で供試体中央部に挿入することにより,初期き裂を含む正方形供試体の作成に成功した.シリコンラバーの厚さや表面の粗度を変化させることにより,初期欠陥形状や初期き裂表面の摩擦係数を変化させることが可能である.シリコンラバーの弾性係数はエポキシ樹脂と比較してオーダーが2つ小さく,挿入された初期欠陥はボイドと見なすことが可能である.本研究で対象とするエポキシ樹脂中のき裂の成長速度は毎秒数百メートル程度である.き裂の成長過程をmmオーダーで画像計測するためには,毎秒100万枚程度の撮影速度を用いて対象を撮影する必要がある.本研究で使用する超高速ビデオカメラの記録可能な画像枚数は103枚であるため,この撮影速度を使用した場合の記録可能時間は103μ秒に留まる.限られた記録可能時間内にき裂の成長開始から停止までを記録するためには,き裂の成長開始とカメラの撮影タイミングをμ秒単位で同期させる必要がある。これに加えて,本研究では光弾性実験装置を用いて供試体中の応力場の変化を画像計測するため,透過光を用いた計測を阻害しない同期装置を作成する必要がある.そこで本研究では透明導電性塗料を用いた遮断トリガーを作成した.作成されたトリガーは作動時間が50μ秒程度でき裂の成長開始を検出することに成功した
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