研究概要 |
本研究では,内水氾濫対策として消雪井戸を利用することを目的として,実際の消雪井戸を利用して,雨水注水可能量の把握を行ってきている.その成果として,1.消雪井戸への注水能力について現地実証を行い,内水氾濫対策として有効性が実証された.2.雨水水質は地下水水質に比べ,良好であることが確認された.3.注水による周辺地下水への影響は軽微であることが確認された.しかしながら,井戸の違いによる注水能力の適性評価,井戸の目詰まり機構の実態把握等について課題が残った.本研究では,上記の課題を検証するため,昨年と同様,見附市今町地区の消雪井戸を用いて,注水試験と揚水試験を行い,以下のことが明らかとなった. 1.どの井戸でも注水による周辺井戸の水位上昇は僅かなものであり,注水終了後は速やかに地下水位が低下する. 2.可能注水量は,井戸のよりかなりのばらつきがある.Well-23の可能注水量は,揚水ポンプありで180L/min,揚水ポンプなしで1000L/minであることが分かった. 3.揚水ポンプをつけたままでは,注水能力はかなり低下する.その低下は,地盤本来の透水係数により異なり,透水性が高いほどポンプが残っていることによる注水能力低下が大きくなる. 4.注水により,溶存酸素が供給され,目詰まりの原因物質である鉄バクテリアが発生するが,揚水によって排出することが可能である. 今後は,モニタリングを続けて長期の影響を見ながら,目詰まりを定量的に把握する必要がある.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
消雪井戸を使える時期が限られているため,また,天候に左右されるため,ケーススは少なくなっているが,行政の協力も得て,順調に現地実証も行えている.
|
今後の研究の推進方策 |
今後の実用化のためには,複数井戸への同時注入の影響とモニタリングを続けて長期の影響を見ながら,目詰まりを定量的に把握する必要がある.また,道路排水の利用は考えていないため,汚れの少ない雨水収集方法を考える必要もある.
|