研究概要 |
道路面に空隙の多い(ポーラス)層を設ける積層地盤の機能低下や耐久性については十分に解明されてはいない.本研究は,交通荷重によるポーラス積層地盤のわだち掘れと透水機能の低下に焦点を絞って,それらのメカニズムの究明と解析モデルの提案を目指すものである, 平成23年度も要素力学試験の実施と積層地盤模型の載荷試験装置の改良と整備を行った,具体的には,平成22年度の成果を受けて,アスファルト固化体については,より多くの種類のアスファルト混合物を用いて繰返しねじりせん断試験を実施することによって,既往方法では評価出来ない混合物の耐久性に係わる諸特性も評価できることを明らかにした.これは,アスファルト固化体の新たな耐久性評価方法の確立のための新たな研究課題へ発展できるものである。また,未固結粒状材については未固結鉄鋼スラグ路盤材の繰返し三軸圧縮試験の追加試験を行うと共に,道路用砕石を用いて新たに繰返し三軸圧縮透水試験を実施した。前者では平成22年度の成果として提案した累積塑性軸および水平方向ひずみの予測式の改良を行った。後者では試験装置の改良と試験方法に工夫を加えることによって,試験数は少ないものの載荷応力条件-累積塑性軸ひずみ-透水係数-載荷回数関係をある程度把握できた,これらは,わだち掘れの解析およびその増加に伴う透水係数の低下の予測に応用できるものである.次に,三層系のアスファルト舗装模型を用いた載荷試験については,平成22年度の予備実験で明らかになった問題点のうち載荷方式について繰返し平板載荷方式から移動荷重載荷方式へと全面的に改良を加えた.予備実験(1回ではあるが)の結果から,繰返し平板載荷方式よりも現実的な累積塑性変形を再現できることなどを明らかにした. 以上のことから,本研究課題に関する当該研究期間の当初目標は概ね達せられたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究目的は交通荷重によるポーラス積層地盤のわだち掘れと透水機能の低下に焦点を絞って,それらのメカニズムの究明と解析モデルの提案である.平成22年度,23年度の研究成果から要素レベルについては計画以上に進展しているが,舗装模型を用いたシステムレベルでは載荷方式に全面的改良を実施したことによって遅れが少し出ているため,総合的に判断して「おおむね順調に進展している」と評価した.
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今後の研究の推進方策 |
改良整備済みの三層系アスファルト舗装模型の載荷試験装置での試験実施が主となる。また,要素試験についても予測解析モデルの改良のための追加試験を実施する。研究計画の変更はなく,研究を遂行していく上での問題点としては舗装模型での移動荷重載荷装置の故障が挙げられる。万が一故障し修理に長期間を要する場合には,繰返し平板載荷方式を復活させて試験を行うと岡時に数値解析によって結果を補完する。修理が済み次第,移動荷重載荷装置を用いた試験を実施して考察結果を修正することにより対応可能である。
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