研究課題/領域番号 |
22560498
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
福江 正治 東海大学, 海洋学部, 教授 (40119699)
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キーワード | 微生物 / 地盤改良 / 地盤防災 / 炭酸塩 / 固結 / カルシウム / マグネシウム / 尿素 |
研究概要 |
尿素分解酵素(ウレアーゼ>を産生する微生物を使って、土中で炭酸塩(Mg-カルサイト、ドロマイト、Ca-マグネサイト)を生成させて、土のセメンテーションを発現させる技術を確立する。本年度は、セメント効果を定量的に実験的に調べ、反応液の地盤浸透特性について検討した。 微細砂、細砂、粗砂を発砲スチロールの箱に詰めてモデル地盤とし、表層から注入管に見立てたチューブまたは管を用いて、水頭差を利用して培養菌と反応液の混合液を注入して、固結部の形状から混合液の浸透特性を調べた。また、その浸透特性を表すために浸透モデルを開発した。さらには、飽和砂と乾燥砂を用いた場合の浸透特性を比較した。その結果、まず細砂と粗砂では浸透特性が大きく変わることがわかった。同時に使用した発砲スチロールの箱のサイズによって壁の影響が現れた。同じ砂を用いた鉋和砂と乾燥砂では、砂の種類によるほど変化はなかったが、注入管の大きさ等の影響が大きいことがわかった。結果をまとめると、次のようである。 1)混合液の注入は、土の透水性、注入圧力、.注入速度、注入量によって、地盤中における混合液プルームの形が変わる。 2)透水性が良いほど、注入プルームは下方へ伸び、透水性の低い細砂の場合には側方への拡がりが顕著になることがわかった。 3)固結度は混合液の反応液の濃度、地盤の間隙比、注入回数、プルームの大きさ等で決定できることがわかった。 4)今回の実験から固結度は最大数100kPaであり、液状化対策などに適用可能であることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現象はほぼ解明でき、一軸圧縮試験等も遂行でき、実証試験のための準備はほぼ整った。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、現場にて小規模の実証試験を行い、総合的な見地から本技術の適応性を明らかにする。 微生物の培養能力が実証試験にはやや小さく、一度の培養では量的に少ないと思われる。そこで、菌の冷蔵保存等により備蓄しておく手段をとる。なお、4℃で保管しておけば1~2ヶ月程度は能力的にほとんど問題ないことが確認できた。
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