研究概要 |
兵庫県南部地震以降,重要構造物の耐震設計には,大振幅の入力地震動を基盤に入力し,表層地盤の非線形性を考慮した耐震設計が行われている。その結果,これまで非線形性を考慮していなかった洪積砂や地盤改良砂の液状化判定を行う機会が増加している。これらの砂質土では供試体作製時の乱れに起因した繰返しせん断強度の過小評価等があり,強度・変形特性の定量評価に課題がある。本研究では上記の課題を解決するために粘着力を有する砂質土の強震時の強度・変形特性の評価試験として,定体積応力制御繰返し一面せん断試験を提案し,平成23年度には試験装置の製作と性能確認を実施した。簡便で実務への適用に耐えうる機構をめざし,パルスモーター式の繰返し荷重載荷装置,メカニカルジャッキによる鉛直変位制御機構を実験装置に盛り込んだ。試験機の基本性能としては,試料が破壊して大変形状態にならなければ,載荷周波数1Hz程度まで制御可能であることを確認した。また,繰返しせん断中の供試体の鉛直変位は手動調整にもかかわらず±0.01mm以内に制御できることがわかった。さらに,CU試験を実施した結果,既存の一面せん断試験装置から得られた強度定数とほぼ同等の値が得られ0本実験装置から得られる試験結果の信頼性を確認した。さらに粘着力を有する2種類の砂質土と1種類の粘土について定体積繰返し一面せん断試験ならびに中空ねじりせん断試験を実施した。異なる試験装置から得られた液状化強度曲線より,様々なせん断変位とせん断ひずみ振幅の時の液状化強度を比較した結果,一面せん断試験の両振幅せん断変位0.2mmと中空ねじり試験の両振幅せん断ひずみ5%では液状化強度がほぼ同等であることがわかった。したがって,定体積繰返し一面せん断試験0両振幅せん断変位0.2mm程度の変形量が液状化を定義するための一つの目安となりうることがわかった。
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