研究概要 |
23年度は定体積繰返し一面せん断試験機を用いて砂質土を対象に実験データの蓄積を行った。さらに,本装置に,部品を追加することで定体積繰返し単純せん断試験が可能となった。よって装置の基本性能の確認実験を行い各種せん断試験結果との比較を実施した。 東日本大震災の発生により,福島県内ではライフライン施設に多くの被害が発生した。なかでも下水道の埋戻し土が液状化し,マンホールの浮き上がりや埋戻し土の揺すりこみ沈下が発生した。そこで,本年度は埋戻し土を対象として,定体積繰返し一面せん断試験装置を用いて,締固め度を変化させた試料について実験を行い,締固め度と液状化強度の関係を求めた。締固めエネルギーが増加するにつれ、液状化抵抗比-含水比曲線の傾きが急勾配となった。標準締固めエネルギーの1/5のエネルギーで締固めた試料の液状化抵抗は標準締固め試料の約6割に減少した。また、標準締固め試料は、最適含水比よりも少し湿潤側で最大の液状化抵抗を発揮することがわかった。 繰返し単純せん断試験は繰返し一面せん断試験機の下部せん断箱に外径8.96mm、内径6.00mmで高さがそれぞれ5mm、3mm、1mmの三種類のリングを積み重ねることで単純せん断を行える仕様とした。積層リングの表面には摩擦軽減のため、テフロン加工を施し,上から5mmを1枚、1mmを16枚、3mmを1枚と計24mmの高さとした。土のせん断変形が拘束されないようにするため,既存の試験で使用しているメンブレンは使用していないことが特徴である。粘性土及び砂質土を対象とした実験では,単純せん断試験結果は、既往の液状化試験と同様の応力-ひずみ関係や有効応力の減少傾向を示した。単純せん断試験で求めた液状化強度は、一面せん断試験の0.93倍、中空ねじりせん断試験の0.91倍と低めの強度となることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画していた試験は,概ね実施している。さらに,東日本大震災の発生により,追加試験を実施したため,より多くの実験データが蓄積された。また,試験装置に部品を追加することで,単純せん断試験が実施できるようになり,研究の幅がさらに広がった。
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今後の研究の推進方策 |
実験データは概ねそろいつつある。今後は,データの解釈と液状化判定法への適用について検討を実施する。また,必要に応じて,数値解析手法を用いて,実験結果の解釈を補足することも必要である。
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