浄水汚泥脱水ケーキ(以下、浄水汚泥)の有効利用の現状と工学的分類を行うための品質評価の課題について検討した。 【文献調査】浄水汚泥の有効利用に関する文献の調査を行った。地盤材料としての有効活用については福島県、茨城県での研究が進んでいる。これらの文献を収集し、研究発表会等で、その研究者と浄水汚泥の利用に関する問題点や、福岡市近郊の浄水汚泥との違いについて意見交換をした。物理特性の違いは、原河川の土砂の違いによるものが大きいこと、従来の試験法では十分に評価できないことなどがわかった。 【サンプルの粒度分析】浄水汚泥はシルト、粘土分が卓越した試料であるが、凝集剤の添加や乾燥によって硬く団粒化しており、見かけの粒径は砂、礫分を多く含んでいる。団粒試料は、外力を受けたり、水と触れたり、乾燥したりすることで粒度分布が変化する。地盤材料として使用する際の実際の粒度分布を把握する必要がある。そこで、非乾燥のまま水中で粒度試験ができる電磁式ふるい振とう機を購入し、水浸や締固めによってどのように粒度分布が変化するのかを把握し、定量的に評価するための試験条件を検討した。 【アンケート調査】浄水汚泥は地域、浄水処理方法、乾燥方法などによって物性が大きく変化する。実験用のサンプルを集めるにあたって、どの地域でどのような浄水、汚泥処理が行われるのかを把握するために、九州、山口の全市にアンケートを送付し、回答を集計した。九州は水資源の条件が比較的良好で、浄水処理を施していない自治体も非常に多いことがわかった。この結果を踏まえ、試料採取場所をさらに検討する。
|