研究概要 |
前年度のアンケート結果をもとに,浄水汚泥を採取する浄水場を9か所抽出し,そのうち5浄水場から採取した試料に対し,物理試験を行った。浄水汚泥は薬剤によって凝集されているため,通常の土砂に対するJISの試験法では適切な物性が判断できない場合がある。特に,本年度は締固めに大きな影響を及ぼすと考えられた粒度に着目した。前年度に購入した散水式振動ふるい試験機を用い,散水法による粒度を指標とすることにし,JIS法との比較を行った。また,浄水汚泥の乾燥に伴ってさらに粒子が収縮固結するため,含水比と粒度(散水法)の関係についても検討した。この段階で,浄水汚泥に対する物理試験の結果にばらつきが大きく,安定した結果が得られる試験法の検討を行う必要が生じた。 次に,道路構成材料(路床材)としての活用を念頭に,コーン指数試験やCBR試験といった力学試験を行った。この結果をもとに,浄水汚泥のもともとの物理特性や乾燥による物理特性の変化に伴う力学特性への影響を検討した。さらに,締固め仕事量の力学特性に対する影響を把握した。その結果,浄水汚泥を適切な含水比に調節し,きちんと締固めるなどにより,十分に路床材としての性能を確保できる可能性が高いことが明らかになった。 上記の研究で,想定を大幅に上回る時間を要したため,当初予定していた「浄水汚泥に軟弱な建設発生土や産業副産物,砂質系の材料を混合することで,地盤材料としてのさらなる品質改善に取り組む」ことは達成できず,次年度の課題として残された。
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