浄水汚泥は、水道事業の浄水過程で発生する産業廃棄物であるが、土質材料としての再利用化に向けた研究が進められている。浄水汚泥脱水ケーキの特徴として、河川など水道源水内に浮遊する微細粒分を薬剤により凝集し、その後の強制脱水過程を経ることで、粒子間が強く固結・団粒化した扁平な砂礫状を呈していることが多い。また、外観からは乾燥しているように見えるが、実際には含水比が極めて高い状態で生成され、その後の乾燥に伴う含水比の経時変化によって性状が著しく変化すること等、締固め特性に及ぼす影響が懸念されることは検討を要する課題と言える。 本研究は、浄水汚泥脱水ケーキの含水比を乾燥側へ変化させた調整試料を用いて,異なる締固め仕事量で締固めた供試体の力学特性(CBR、透水性)を調べ、道路路床材としての適用性に関して検討したものである。対象試料は2010年度に実施した九州地区の浄水事業者に対するアンケート調査の結果および2011年度までの試験結果を踏まえ,3か所の浄水場から採取した浄水汚泥脱水ケーキを用いた。 含水比の高い浄水汚泥は締固め時の含水比を乾燥側へ調整することで、道路路床材としての適用が可能となる結果が得られた。しかし、乾燥に伴って試料が硬くなり締固めが困難となる性質もあるため、締固め仕事量の管理が重要であり、今後さらに検討を要す課題と考えている。
|